新年に寄せて:我々はどのような世界を望むのか
2026年が始まった
明けましておめでとうございます。年末の挨拶もきちんとせぬまま年を越してしまし、申し訳ありませんでした。新年早々、箱根に滞在し、澄んだ空気の中でリフレッシュする機会を得ました。天気にも恵まれて、とても気持ちのいい正月を過ごしていましたが、本日、アメリカがベネズエラのカラカスの軍事施設を攻撃、マドゥロ大統領を拘束したというニュースが入りました。ああ、新年早々なんと言うことか、と思う反面、これはこれまでの約20年間、2000年代末から続いているトレンドの一部とみるべきなのだろうな、と考えました。
この件も含め、ここで、2026年の年頭に、前年を振り返りつつ今、何が起こりつつあるのかを概観すると共に、どうして我々は世界が変容する様に関心を持つのか、持つべきなのかを考えて見たいと思います。
世界の有り様の変化は2000年代後半から
昨年2025年は、世界の有り様が大きく変わっていくことを実感することの多い1年でした。今考えれば、今に繋がる世界の大きな揺らぎは2000年代後半の世界経済危機に始まり、2010年代半ばからはより大きな揺れが来て現在に至っている気がします。
リーマンショックに始まる世界経済危機で顕在化したのは、まず、年末のレターでも触れた、冷戦後に加速したグローバル化の行き詰まりです。この危機はグローバル化を牽引したアメリカ発だったことが、その本質が加速しすぎたグローバル化にあることを示していました。またこの危機はアメリカと同じくグローバル化の中で経済的パフォーマンスが良好だった欧州も直撃しました。この出来事は、ドルへの過度の依存の危険性を示したのみならず、グローバル化でただでさえ広がっていた先進国内の格差がさらに拡大し、その後のこれらの国々の国内社会の分断やそれに伴う政治の不安定化をもたらしました。また、環境負荷の増大や労働者の人権など、すでに1990年代から問題視されていたグローバル化の影の部分にも光が当てられることになりました。
さらに世界経済危機で顕在化したのは、新興国の台頭でした。このときはまだ中国は新興国の筆頭、というポジションでした。そのほか、インド、ブラジル、そして「力を回復」したロシア、南アフリカといったBRICS諸国をはじめとする、いわば「非先進国」のパワーの伸張が世界の大きな潮流と考えられるようになりました。もちろん、その流れは前からあったわけですが、この危機はそれを決定づけたと思います。昨年は「トランプ劇場」に目を奪われた1年でしたが、いわゆる非先進国の中でも自らの属する地域の情勢や秩序のあり方を決定づける力を持ち、それがグローバルレベルの国際政治にも一定の影響力をもつような新興国の力の伸張といういうトレンドは確実に進行したと思いますし、今後も続いていくでしょう。それらの国々の挙動は国際社会の有り様をこれまで以上に決定づける力を持つと考えられます。