なぜ日本の首相がASEANに行くのか
高市首相、外交デビューの場はクアラルンプール
高市早苗首相の外交デビューの舞台となる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連諸会議となりました。総裁選後に公明党が連立から離脱し、誰が首相に選出されるか、そもそも首相が予定通り選出されるのかが不透明になったときには、日本から首相が出席できないのではないかとドキドキしました。高市首相が出席することになり、本当に良かったと思っています。
さて、高市首相が出席するのは日ASEAN首脳会議、ASEAN+3,および東アジアサミットです。(※10/27訂正:今回は高市首相はこの中では日ASEAN会議のみ出席、サイドイベントであるアジアゼロエミッション(AZEC首脳会議)にも出席し、ASEAN+3および東アジアサミットは茂木外相が代理出席しました。)
会議の連続で成り立っている多国間制度においては、会議に参加することそのものが非常に重要です。そこで、その会議の議論に生で参加し、ちょっとした合間に他のリーダーたちと立ち話してコミュニケションをとることが、その後の両国関係にとってプラスとなります。
さらに今、日本にとって東南アジア諸国との連携強化は非常に重要。彼らにとって、自分たちが主催するASEAN関連諸会議に加盟国のしかるべき人物が来ないことは、非常に遺憾な事態であり、彼らの顔を潰すことです。
正直、今の日本に、そうした傲慢ともとられる態度を取る余裕はありません。あらゆる機会を捉えて、様々な国との連携を強化する必要があります。今回わざわざクアラルンプールに足を運ぶのは難儀かもしれませんが、外交効果を考えると日本の立場を明示できるし、ある意味効率よいです。
日本はASEANとは歴史的に深い関係にあり、東南アジア諸国は日本の今後にとって一層重要です。2023年には日ASEAN50周年ということで、特別首脳会議が東京で開催され、今後の協力深化を確認し合っています。サムネイルの写真は、このサミットの会場だったホテルオークラのフロントに飾られていた、日ASEAN友好協力50周年のロゴの像です。私は日本政府が立ち上げた日ASEAN友好協力50周年有識者会合の座長を務めた関係で、ありがたいことにこの首脳会議のガラディナーに招待されまして、ASEAN首脳を間近に見る貴重な機会を得ました。(この有識者会合の概要と提言についてはこちら)
ASEANアーキテクチャーの意義
ASEAN+3、EASに加え、外相級のASEAN地域フォーラム(ARF)、防衛大臣が参加するASEAN防衛大臣プラス、さらに日本をはじめとする主要な域外国とのASEAN+1の首脳会議。これらを中心とするASEANを中心とするアジア太平洋に広がる広域制度やバイ(二者間)の関係の制度化を総称し、「ASEANアーキテクチャー」と称します。